蟹山昇宏税理士事務所(大阪・本町)が解説します。

freeeで固定資産を登録する方法|本記事でわかること

  • freeeの固定資産台帳への新規登録手順(Step1〜5)
  • 耐用年数の選び方と中古資産の計算方法
  • 定額法・定率法の違いと自動仕訳の仕組み
  • 売却・除却時の処理とよくある5つのミス
  • 税理士が推奨する月次運用ルール

freeeの固定資産登録とは、パソコン・車両・建物などの高額な資産を固定資産台帳に記録し、減価償却費の自動計算と月次仕訳の生成を行う作業です。正しく登録することで、税務調査での指摘リスクを下げ、毎月の決算数値を正確に把握できます。

【2026年最新法改正対応】令和8年度税制改正(財務省・令和8年3月9日決定)により、中小企業者等の少額減価償却資産の特例が30万円未満から40万円未満に拡充されました。令和8年4月1日以降に取得する資産から適用されます。本記事はこの最新改正内容を反映しています。

当事務所には、freee導入・運用支援を通じて次のようなご相談が多く寄せられます。

  • 「固定資産台帳に登録したいが、耐用年数の選び方がわからない」
  • 「減価償却費が自動計算されているはずなのに、試算表の数字がおかしい」
  • 「車を売却したときの処理をfreeeでどう記録すればいいか迷っている」

結論として、freeeの固定資産登録は「固定資産台帳」メニューから5つのステップで完了します。取得価額・取得日・耐用年数の3つを正確に入力すれば、減価償却費の計算と月次仕訳はfreeeが自動で行います。ただし、耐用年数の選び方と消費税区分の設定は手動入力のため、ここでのミスが税務調査の指摘につながります。当事務所は120社以上のfreee導入・運用支援実績を持つ、大阪のfreee認定税理士事務所です。実務に基づいたポイントを、順を追って解説します。

freeeの固定資産管理とは|台帳・減価償却・仕訳が一元管理できる

freeeの固定資産管理とは、台帳登録・減価償却計算・会計仕訳を一画面で完結できる機能です。

固定資産台帳とは何か、紙の台帳との違い

固定資産台帳とは、会社や個人事業主が保有する固定資産(取得価額10万円以上の資産)を一覧管理する帳簿です。法人税法上、減価償却費の計算根拠として保存が義務づけられています。

従来の紙・Excelの台帳では、毎期の減価償却費を手計算し、仕訳帳に転記する作業が発生していました。freeeの固定資産台帳では、この転記作業がゼロになります。登録した資産の情報をもとに、月次の減価償却仕訳が自動生成される仕組みです。

国税庁の法令解釈通達によると、固定資産台帳は「帳簿として整理され、いつでも確認できる状態」であれば電子データでの保存が認められています。freeeの台帳データはこの要件を満たしており、電子帳簿保存法(電帳法)への対応にもなります。

freeeで管理できる固定資産の種類(有形・無形・一括償却)

freeeで登録できる固定資産は、大きく3つに分類されます。

  1. 有形固定資産:建物・車両・機械・パソコン・事務机など、形のある資産
  2. 無形固定資産:ソフトウェア・特許権・商標権など、形のない資産
  3. 一括償却資産:取得価額が10万円以上20万円未満の資産を3年間で均等償却する特例

freeeの固定資産台帳では、登録時に「資産区分」を選択することで、それぞれの区分に応じた耐用年数と償却方法が自動的に適用されます。有形・無形の区別を誤ると耐用年数が変わるため、入力前に確認が必要です。

当事務所のfreee導入支援実績(120社以上)のデータによると、一括償却資産と少額減価償却資産(後述)の区分を混同しているケースが全体の約30%を占めています。この混同は税務調査で指摘されやすいため、後のH2-6でも詳しく解説します。

少額減価償却資産の取扱いルール(2026年4月時点)

中小企業者等には「少額減価償却資産の特例」が設けられています。令和8年度税制改正(財務省「令和8年度税制改正の大綱」)により、令和8年4月1日以降に取得する資産から、金額基準が30万円未満から40万円未満に引き上げられました租税特別措置法第67条の5(法人向け)/第28条の2(個人事業主の青色申告者向け))。取得した年度に全額を損金算入(法人)または必要経費算入(個人事業主)でき、年間合計額300万円までという上限は据え置きです。

税理士補足:同じ特例でも、法人向けは租税特別措置法第67条の5「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」、個人事業主(青色申告者)向けは第28条の2「中小事業者の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入の特例」と条文が分かれています。適用要件の骨格は共通していますが、従来の従業員数要件が法人と個人事業主で異なっていたため、今回の改正で両者が400人以下に統一されました。freeeで「少額減価償却資産(中小特例)」を選択する際は、自身が法人か個人事業主かによって拠り所となる条文が異なる点を押さえておきましょう。

税理士の独自解説:この特例は平成15年(2003年)の制度創設以来、20年以上にわたって金額基準が30万円未満のまま据え置かれていました。物価上昇とIT機器の高性能化により、近年はパソコンや業務用ソフトが30万円を超えるケースが増加しており、中小企業の実務負担が課題となっていました。今回の改正は20年ぶりの基準引き上げであり、税理士の立場からも大きな節税インパクトがある改正です。出典:財務省「令和8年度税制改正の大綱」(https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2026/08taikou_03.htm)

改正後の主なルールをまとめます。

  • 金額基準:取得価額40万円未満(令和8年4月1日以降取得分)
  • 対象者の要件:常時使用する従業員の数が400人以下の中小企業者・中小事業者(青色申告者)
    • 法人:従来の1,000人以下 → 400人以下に厳格化(租税特別措置法第67条の5)
    • 個人事業主(青色申告者):従来の500人以下 → 400人以下に厳格化(租税特別措置法第28条の2)
    • 青色申告が前提条件。個人事業主は特に確認が必要
  • 年間合計限度額:300万円まで(据え置き)
  • 適用期限:令和11年3月末まで延長
  • 経過措置:令和8年3月31日以前に取得した資産は旧基準(30万円未満)が引き続き適用

対象要件が厳格化された点にも注意が必要です。法人(租税特別措置法第67条の5)は従来1,000人以下だった従業員数要件が400人以下に引き下げられました。個人事業主(租税特別措置法第28条の2)は従来500人以下だった要件が同じく400人以下に統一されています。中小企業・個人事業主の多くは従業員400人以下のため実務上の影響は限定的ですが、従業員数が400人に近い法人・個人事業主については顧問税理士への確認をおすすめします。なお、法人・個人事業主を問わず、青色申告が適用の前提条件である点も忘れずに確認してください。

freeeで登録する際は「少額減価償却資産(中小特例)」を選択することで、全額を当期の費用として計上できます。節税効果が大きい特例のため、活用できる状況かどうかを税理士に確認することをおすすめします。詳しくは大阪の中小企業向け節税対策15選もあわせてご参照ください。

また、freeeの固定資産機能全体の使い方についてはfreee会計の使い方まとめにも概要を記載しています。

freeeで固定資産を新規登録する手順(Step1〜5)

freeeへの固定資産登録は、取得価額・取得日・耐用年数の3項目を正確に入力すれば完了します。

Step1〜2|固定資産台帳画面と資産を追加ボタン

freeeの固定資産登録は、以下の手順で開始します。

  1. freeeにログインし、左メニューから「会計」→「固定資産台帳」を選択します。
  2. 画面左上の「+固定資産を登録」ボタンをクリックします。

固定資産台帳の一覧画面では、登録済みの資産が期首帳簿価額・今期償却額・期末帳簿価額とともに表示されます。登録件数が増えてきたら「資産区分」や「取得年度」でフィルタリングできます。

【税理士の警告】固定資産台帳への登録が漏れていると、減価償却費が計上されません。決算で「なぜ費用が少ないのか」と気づくケースがありますが、その場合は過去の期間への遡及修正が必要になります。購入した時点でリアルタイムに登録することが、有効なリスク回避策です。

Step3〜4|取得価額・取得日・耐用年数の入力

「固定資産の登録」画面では、以下の項目を入力します。

  1. 資産の名前:「MacBook Pro(シリアル:XXX)」など、資産を特定できる名称を入力します。
  2. 取得日:資産を取得した日を入力します。
  3. 事業供用開始日:資産を事業に利用開始した日付を入力します。
  4. 取得価額:税抜か税込かは消費税の経理方法に合わせます(税抜経理なら税抜金額、税込経理なら税込金額)。
  5. 勘定科目:資産の勘定科目を選択します。
  6. 償却方法:償却方法を選択します(詳細はH2-4で解説)。
  7. 耐用年数:国税庁の法定耐用年数表に基づいて入力します(詳細はH2-3で解説)。

【税理士の警告】取得日の欄に「購入日(請求書の日付)」を入力してしまうミスが非常に多いです。減価償却は「事業の用に供した日(使用開始日)」から開始するのが原則です(法人税法施行令第60条)。倉庫に在庫として保管している期間は使用開始前とみなされるため、請求書日付ではなく実際に業務で使い始めた日を入力してください。

Step5|事業専用割合と自動仕訳の確認

入力の最後に「事業専用割合」を設定します。個人事業主で自家用と事業用を兼用している場合(例:自宅兼事務所・プライベートでも使う車両)は、事業で使用している割合をパーセントで入力します。法人の場合は原則100%です。

すべての入力が完了したら「保存」をクリックします。保存後は一覧画面に戻り、登録した資産が表示されていることを確認します。その後、右上の「仕訳を確認」から自動生成された仕訳を確認してください。

freeeの自動仕訳では、取得時の仕訳(固定資産 / 未払金 など)と毎月の減価償却費仕訳(減価償却費 / 減価償却累計額)が生成されます。勘定科目が意図どおりに設定されているか、金額が正しいかを目視で確認することが重要です。

耐用年数の選び方|国税庁の法定耐用年数

耐用年数は国税庁の法定耐用年数表を参照し、資産の種類と用途に合った年数を固定資産台帳に入力します。中古資産は別途計算式で算出が必要です。

資産種類別の法定耐用年数(比較表)

主な資産区分の法定耐用年数は以下のとおりです(国税庁「耐用年数表」より。2026年4月時点)。freeeのプルダウンはこの法定耐用年数表に対応しています。

資産区分具体例法定耐用年数主な注意点
建物(木造)木造事務所・店舗22年用途によって年数が異なる
建物(鉄骨鉄筋コンクリート造)RC造オフィスビル50年住宅用途は47年
建物附属設備(電気設備)蛍光灯・空調設備15年蓄電池電源設備は6年
車両運搬具(普通乗用車)社用車(普通車)6年軽自動車は4年
工具・器具・備品(パソコン)ノートPC・デスクトップPC4年サーバー用途は5年
工具・器具・備品(事務机)スチール製デスク・椅子15年木製家具は8年
無形固定資産(ソフトウェア)市販ソフト・自社開発5年複写して販売するものは3年
機械装置(一般的な製造業用)製造ライン設備10年前後業種・用途で大きく異なる

【税理士の警告】パソコンの耐用年数は「4年」ですが、サーバーとして使用するものは「5年」に変わります。また、スマートフォンは「電話設備その他の通信機器」として10年と解釈する場合と、携帯電話として別途10年とする場合があります。用途が不明瞭な場合は税理士への確認をおすすめします。

中古資産取得時の耐用年数の計算式

中古資産を取得した場合、法定耐用年数をそのまま使うのではなく、残りの使用可能年数を計算する必要があります(法人税法施行令第57条)。

計算方法は2パターンです。

  1. 経過年数が法定耐用年数を超えている場合:法定耐用年数 × 20% = 耐用年数(端数は切り捨て、最低2年)
  2. 経過年数が法定耐用年数の範囲内の場合:(法定耐用年数 − 経過年数)+ 経過年数 × 20% = 耐用年数

例として、新車から3年経過した普通乗用車(法定耐用年数6年)を中古取得した場合を計算します。(6年 − 3年)+ 3年 × 20% = 3.6年 → 端数切り捨てで3年です。freeeの耐用年数プルダウンで「3年」を選択します。

当事務所のfreee導入支援実績(120社以上)のデータによると、中古資産の耐用年数を誤って法定耐用年数のままで入力しているケースが、中古資産保有企業の約40%に見られます。毎月の減価償却費が少なくなるため、節税機会の損失にもつながります。

ソフトウェアの耐用年数(5年・3年の分岐)

ソフトウェアの耐用年数は、用途によって以下の2種類に分かれます。

  • 5年:複写して販売するための原本以外のソフトウェア(自社で業務に使用するもの)。例:freeeの年払いライセンス(無形固定資産計上の場合)、業務管理ソフト
  • 3年:複写して販売するための原本。例:販売目的で開発したソフトウェア

ビジネス向けに導入するクラウドサービスの年払いライセンスは、金額によっては固定資産(ソフトウェア)計上ではなく、前払費用として処理するケースもあります。判断が迷う場合は、当事務所にご相談ください。

減価償却費が自動計算される仕組みと仕訳確認

freeeの減価償却は、取得価額・耐用年数・償却方法をもとに月次仕訳を自動生成する仕組みです。

定額法と定率法、freeeでの切り替え(比較表)

減価償却には「定額法」と「定率法」の2種類があります。freeeでは登録時に償却方法をプルダウンで選択できます。

項目定額法定率法
計算方法取得価額 × 定額法の償却率(毎年同額)期首帳簿価額 × 定率法の償却率(逓減)
対象資産建物・建物附属設備・無形固定資産は定額法のみ機械・車両・器具備品など(届出により選択)
初年度の費用毎年ほぼ均等初年度が最も大きい
節税効果のタイミング均一(長期にわたり安定)取得初年度〜数年間に集中
メリット計算がシンプルで予測しやすい取得直後の費用計上が多く、短期の節税効果が高い
デメリット初年度の費用計上が少ない年度によって費用額が変わり、利益が読みにくい
freeeでの選択プルダウンで「定額法」を選択プルダウンで「定率法」を選択

法人の場合、建物・建物附属設備・無形固定資産は定額法が強制適用されます。機械・車両・器具備品は、税務署への「減価償却資産の償却方法の届出書」を提出することで定率法を選択できます。届出がない場合、法人は定率法が原則適用、個人事業主は定額法が原則適用となります(法人税法施行令第48条の2、所得税法施行令第120条)。

【税理士の警告】freeeのプルダウンで任意に償却方法を変更できますが、税務署への届出と一致していない設定は税務上無効です。当事務所が支援してきた企業の中にも、届出をせずに定率法を設定しているケースがありました。設定前に届出の有無を徹底して確認してください。

月次の減価償却仕訳が生成されるタイミング

freeeでは、固定資産を登録した後、月次の「締め処理」を行うことで減価償却仕訳が自動生成されます。具体的な流れは以下のとおりです。

  1. 固定資産台帳に資産を登録する。
  2. 対象月の取引を入力する。
  3. 「レポート」→「月次推移表」または「固定資産台帳」から当月の減価償却費を確認する。
  4. 月次締め処理を実行すると、減価償却費の仕訳が自動生成される。

なお、freeeの月次締めを行わずに試算表を確認すると、減価償却費が計上されていない状態で数値が表示されます。「費用が少なすぎる」と感じた場合は、月次締めの実施状況を確認してください。

期中取得資産の月割計算の確認

期中(事業年度の途中)に取得した資産は、取得した月から期末までの月数で減価償却費を月割計算します。freeeはこの月割計算も自動で行います。

例として、3月決算の法人が10月に100万円のパソコン(耐用年数4年・定額法)を購入した場合を考えます。年間の償却費は100万円 × 0.250 = 25万円ですが、10月〜3月の6ヶ月分のみ計上されるため、初年度は25万円 × 6/12 = 12.5万円となります。freeeはこの計算を自動で処理するため、手計算の転記ミスがなくなります。

初回30分無料のWeb面談でお気軽にご相談ください。固定資産の登録設定から月次決算の仕組み作りまで、実務に沿ってサポートします。

固定資産を売却・除却したときの処理

固定資産の売却・除却は、freeeの台帳から「売却」または「除却」を選択して日付と価額を入力するだけで完了します。

売却時|売却価額入力と仕訳

固定資産を売却した場合の処理は、以下の手順で行います。

  1. 固定資産台帳で対象資産を開き、右上の「処理」ボタンから、「除却・売却」をクリックします。
  2. 売却を選択します。
  3. 償却設定を選択します。
  4. 除却した日を入力すると、freeeが自動で「売却時点の帳簿価額」を計算し、固定資産売却損益の仕訳を生成します。

売却代金の入金データを固定資産売却損益として登録します。決算時に売却損益を適切な勘定科目に振り替える処理を行います。

【税理士の警告】消費税の処理に注意が必要です。固定資産の売却は消費税の課税取引です。売却価額に消費税を含めて請求する場合は、消費税の仕訳区分を「課税売上(10%)」に設定してください。消費税区分を「対象外」のまま処理すると、消費税申告で誤りが生じます。

除却時|廃棄証明書の保存と電帳法対応

固定資産を廃棄・廃棄処分した場合は「除却」処理を行います。

  1. 固定資産台帳で対象資産を開き、右上の「処理」ボタンから、「除却・売却」ボタンをクリックします。
  2. 除却を選択します。
  3. 償却設定を選択します。
  4. 除却日を入力します。
  5. freeeが残存帳簿価額を「固定資産除却損」として仕訳を生成します。

除却損を損金に算入するためには、廃棄の事実を証明する書類を保管するといいでしょうk。産業廃棄物処理業者などから発行される「廃棄証明書(マニフェスト)」を取得し、電子データで保存してください。電帳法(電子帳簿保存法)に基づく書類の取扱いについては、freeeの電子帳簿保存法対応と保存方法で詳しく解説しています。

売却損益のP/L反映確認

売却・除却処理後は、freeeのレポート「損益計算書」を確認し、特別損益欄に正しく反映されているかを確認します。

固定資産売却損益は、営業利益には影響しませんが、税引前当期純利益に直接影響します。期末に大きな売却が発生した場合、税負担が変わることがあります。決算前に固定資産の売却・除却予定がある場合は、早めに税理士に報告することをおすすめします。

よくあるミス5選(税務調査で指摘されがちなポイント)

freeeの固定資産登録でよくあるミスは、取得日・消費税区分・資産区分の3点に集中します。

当事務所のfreee導入支援実績(120社以上)のデータによると、税務調査での指摘の約7割がこの3点です。事前に把握しておくことで、ほとんどの指摘リスクを防ぐことができます。

ミス1:取得日を使用開始日ではなく購入日で入れる

前述のとおり、減価償却の開始日は「事業の用に供した日(使用開始日)」です。請求書や領収書の日付(購入日)を取得日として入力するミスが最も多く見られます。

例として、11月1日に発注・11月15日に納品・11月20日に事業で使用開始したパソコンの場合、freeeに入力する取得日は「11月20日」です。11月1日や11月15日は正しくありません。使用開始日を記録するために、資産の設置・起動日をメモしておく習慣をつけましょう。

ミス2:消費税の仕訳区分の誤設定

固定資産の取得時の仕訳区分(課税仕入・非課税・対象外)を誤って設定すると、消費税申告の仕入税額控除が正しく計算されません。

課税事業者が国内で固定資産を購入した場合は「課税仕入(10%)」が正解です。土地の購入は「非課税仕入」、外国からの輸入(関税がかかる場合)は「課税仕入(輸入)」と区分が変わります。freeeでは仕訳の「税区分」欄で確認・変更できます。

【税理士の警告】消費税の課税方式(本則課税・簡易課税)によって、固定資産の仕入税額控除の扱いが異なります。本則課税の場合、高額な固定資産の取得は消費税の還付要因にもなります。年間の設備投資額が大きい場合は、課税方式の選択を含めて事前に相談することをおすすめします。

ミス3:一括償却資産と少額減価償却資産の混同

令和8年度税制改正後の資産区分の判定フローは以下のとおりです。取得日が令和8年4月1日以降かどうかで適用基準が変わるため、取得日の確認を欠かさず行ってください。

  1. 取得価額が10万円未満:消耗品費として全額費用計上(固定資産台帳への登録不要)
  2. 取得価額が10万円以上20万円未満:一括償却資産(3年均等償却)または少額減価償却資産(中小特例)を選択可能
  3. 取得価額が20万円以上40万円未満(令和8年4月1日以降取得):従業員400人以下の青色申告中小企業者(法人)・中小事業者(個人事業主)は少額減価償却資産(中小特例)を選択可能。法人・個人事業主いずれも同じ400人以下の基準が適用される。それ以外は通常の固定資産として減価償却
  4. 取得価額が40万円以上:通常の固定資産として耐用年数にわたり減価償却

改正前(令和8年3月31日以前取得)と改正後(令和8年4月1日以降取得)の対比を整理します。

  • 一括償却資産(10万円以上20万円未満):青色申告の有無に関係なく適用可能。3年間で均等に償却する。改正前後で変更なし
  • 少額減価償却資産(改正前:30万円未満):青色申告の中小企業者・中小事業者のみ。法人・個人事業主いずれも適用可(法人は従業員1,000人以下、個人事業主は500人以下)。年間300万円上限で全額当期費用
  • 少額減価償却資産(改正後:40万円未満):青色申告の中小企業者・中小事業者のみ。法人・個人事業主いずれも従業員400人以下に統一。年間300万円上限は据え置き。令和8年4月1日以降取得分から適用

freeeでは資産区分の選択でこの分類を切り替えます。中小特例を使える状況なのに一括償却資産で処理してしまうと、費用計上が3年分散になり、本来得られる節税効果を先送りします。逆に白色申告の事業者や従業員400人超の法人・個人事業主が少額減価償却資産を選択すると、税務上認められません。法人・個人事業主いずれも、青色申告の維持と従業員数の確認が前提です。取得日が令和8年4月1日前後をまたいでいる場合は、基準が異なるため特に注意が必要です。

ミス4:資本的支出と修繕費の混同

既存の固定資産に対する支出は、「修繕費(費用)」または「資本的支出(固定資産として計上)」のどちらかに分類されます。分類の基準は「支出によって資産の価値・耐久性が向上したか否か」です。

例として、壊れたエアコンの修理は修繕費ですが、機能追加のための改造は資本的支出です。資本的支出として計上すべき支出を全額修繕費にすると、当期費用の過大計上となり税務調査で指摘されます。20万円以上の支出は固定資産として計上するかどうかを慎重に判断してください。

ミス5:登録漏れ・重複登録

購入した備品をその都度登録せず、決算時にまとめて登録しようとすると、登録漏れや重複が発生しやすくなります。また、freeeの通帳連携で自動生成された仕訳と、固定資産台帳の取得仕訳が重複するケースも見られます。

購入時の仕訳と固定資産台帳の登録は対になっています。freeeで自動提案された仕訳を承認するだけでなく、固定資産台帳への登録が済んでいるかを毎月確認することが重要です。

税理士が推奨する運用ルール

freeeの固定資産は、購入のたびリアルタイムで登録し、月次に台帳と試算表を照合するのがコツです。

リアルタイム登録の重要性

固定資産の登録は「購入した月中に行う」ことを当事務所は強く推奨しています。月をまたぐと、購入の事実が記憶から薄れ、領収書や請求書の管理が煩雑になります。

特に、事業年度末に近い時期(3月決算なら2〜3月)に購入した資産の登録漏れは多く見られます。期末ギリギリに登録した場合でも減価償却は月割で計算されるため、正確な期末帳簿価額を把握するために早期登録が不可欠です。

当事務所では、freeeの通帳連携で固定資産購入の仕訳が自動提案されたタイミングを「登録のトリガー」として活用することを推奨しています。通帳連携で候補が上がったら、同時に固定資産台帳への登録も行う運用です。

月次決算での台帳と試算表の照合手順

月次決算では、固定資産台帳の「今期償却額合計」と試算表の「減価償却費」を毎月照合することを習慣にしてください。

  1. freeeの「固定資産台帳」から当月末時点の「当期償却額累計」を確認する。
  2. 「月次推移表(試算表)」の減価償却費の累計額と突き合わせる。
  3. 差異があれば、登録漏れや重複登録の可能性を調査する。

この照合を毎月行うことで、決算時の修正作業がゼロになります。freeeとbixidを組み合わせた月次決算の進め方については、freeeとbixidで月次決算を効率化する方法でも解説しています。

決算期末に税理士と確認すべきチェックリスト

決算期末には、税理士と以下のチェックリストを確認することをおすすめします。

  • 固定資産台帳の全資産について、実際に保有・使用していることを確認(現物確認)
  • 除売却した資産が台帳から削除されているか
  • 耐用年数が正しく設定されているか(特に中古資産)
  • 少額減価償却資産の当期合計が300万円以内か
  • 修繕費として処理した支出に資本的支出が混入していないか
  • 消費税の仕訳区分に誤りがないか
  • 除却損に廃棄証明書が対応しているか

当事務所では、決算前の税務チェックもfreeeの画面を共有しながらWeb面談で行っています。初回30分は無料でご利用いただけます。

まとめ|freeeの固定資産登録を正しく運用するために

この記事で解説した内容を整理します。

  • freeeの固定資産台帳は、登録・減価償却計算・仕訳が一体管理でき、紙台帳の転記作業をゼロにできる
  • 新規登録の基本は「資産を追加」から取得価額・取得日(使用開始日)・耐用年数の3項目を正確に入力すること
  • 耐用年数は国税庁の法定耐用年数表に基づいて選択し、中古資産は計算式で算出する
  • 定額法・定率法の選択は税務署への届出と一致させること
  • 売却・除却時は台帳から操作し、廃棄証明書を電子保存する
  • 税務調査で指摘されやすい5つのミス(取得日・消費税区分・資産区分の混同・資本的支出・登録漏れ)を事前に防ぐ
  • 月次決算で台帳と試算表を照合し、差異をゼロに保つ運用を習慣化する

当事務所は、freee認定5つ星アドバイザーとして120社以上の導入・運用支援実績を持つ大阪のfreee認定税理士事務所です。固定資産の登録方法から月次決算の仕組み作りまで、経営者・経理担当者の方に寄り添ってサポートします。固定資産の設定に不安がある方、税務調査への対策を整えたい方は、下記からお気軽にご相談ください。freeeの導入・運用支援について詳しくは大阪のfreee導入支援税理士事務所のページもご覧ください。

よくある質問(FAQ)

Q1. freeeで固定資産を登録しないとどうなりますか?

固定資産台帳への登録を行わないと、減価償却費が自動計算されず、毎月の費用が過少計上されます。その結果、試算表・決算書の利益が実態より多く見え、法人税・所得税を過大に納付するリスクがあります。また税務調査では固定資産台帳の提出を求められるため、台帳が整備されていない場合は追徴課税につながる可能性があります。購入のたびにリアルタイムで登録することを強くおすすめします。

Q2. 40万円未満の備品はすべて少額減価償却資産にできますか?

令和8年度税制改正により、令和8年4月1日以降に取得した40万円未満の資産は少額減価償却資産の特例(中小特例)の対象になりましたが、適用には条件があります。法人・個人事業主それぞれの要件は以下のとおりです。

  • 法人(租税特別措置法第67条の5):青色申告をしている中小企業者(資本金1億円以下など)で、常時使用する従業員数が400人以下。従来は1,000人以下でしたが、今回の改正で厳格化されました。
  • 個人事業主(租税特別措置法第28条の2):青色申告をしている中小事業者で、常時使用する従業員数が400人以下。従来は500人以下でした。青色申告の届出がない場合は適用できません。

白色申告の事業主や従業員400人超の法人・個人事業主は適用できません。また、年間合計300万円の上限があるため、年度後半に300万円を超えそうな場合は一括償却資産との組み合わせを検討してください。令和8年3月31日以前に取得した資産には旧基準(法人は30万円未満、個人事業主も30万円未満)が引き続き適用されます。経過措置の判断に迷う場合は税理士への相談をおすすめします。

Q3. 耐用年数を間違えて登録した場合、修正できますか?

freeeの固定資産台帳では、登録後でも耐用年数を修正できます。ただし、修正によって過去の減価償却費が変わるため、修正した期以前の仕訳を遡って変更する必要があります。過去の申告書にも影響が出る場合は修正申告が必要になります。耐用年数の誤りに気づいた時点で早めに税理士に相談し、修正の範囲と影響額を確認することをおすすめします。

Q4. リース資産も固定資産台帳に登録が必要ですか?

ファイナンスリース(所有権移転または所有権移転外)は、会計上・税務上ともに固定資産として計上する必要があります(リース取引に関する会計基準)。freeeの固定資産台帳に「リース資産」として登録し、リース期間を耐用年数として減価償却します。一方、オペレーティングリースはリース料を毎月の費用として処理するため、固定資産台帳への登録は不要です。契約書の種別を確認し、不明な場合は税理士に相談してください。

Q5. 減価償却費が月次で計上されない時はどこを確認すればよいですか?

以下の4点を順番に確認してください。まず、固定資産台帳に資産が登録されているか確認します。次に、対象月の「月次締め処理」が実行済みかを確認します。締め処理が未実施の場合は仕訳が生成されません。また、取得日が当該月以降に設定されている場合は、その月まで償却は開始しません。最後に、少額減価償却資産(全額即時損金)として登録している場合は月次の償却仕訳は発生しません(取得時に全額計上済み)。

Q6. 中古パソコンの耐用年数はどうやって計算しますか?

中古パソコンの耐用年数は、法定耐用年数(4年)と経過年数をもとに計算します。例として、購入時点で2年経過した中古パソコンの場合:(4年 − 2年)+ 2年 × 20% = 2.4年 → 端数切り捨てで2年です。freeeのプルダウンで「2年」を選択します。経過年数が法定耐用年数(4年)を超えている場合は、4年 × 20% = 0.8年 → 最低2年として「2年」を使います。経過年数が不明な場合は合理的な見積もりによる方法もありますが、税理士への確認をおすすめします。

Q7. 固定資産台帳を出力して税理士に渡す方法は?

freeeの固定資産台帳は、画面右上の「エクスポート」ボタンからCSV形式でダウンロードできます。エクスポートデータには資産名・取得日・取得価額・耐用年数・期末帳簿価額など、税務申告に必要な情報が含まれます。また、税理士がfreeeのアカウントに招待されている場合は、直接画面を確認することが可能です。当事務所では、お客様のfreeeアカウントに参加する形でリアルタイムに台帳を確認しています。

著者情報

蟹山 昇宏(かにやま のりひろ)|税理士
近畿税理士会所属(登録番号138494号)。蟹山昇宏税理士事務所 代表。大阪市中央区安土町(本町駅徒歩3分)。freee認定5つ星アドバイザー、bixider認定事務所、認定経営革新等支援機関。中小企業の節税・freee導入・資金調達を一貫して支援。「わかりやすく、ていねいに」がモットー。

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