
蟹山昇宏税理士事務所(大阪・本町)が解説します。
売上は増えたのにお金がない…年商1億円企業の資金繰り改善5つの方法
資金繰りとは、事業の収入と支出のタイミングを管理し、手元資金が不足しないよう調整する経営活動のことです。売上の入金が遅れるいっぽう、仕入や人件費の支払いが先行するため、黒字経営であっても手元資金が底をつく「黒字倒産」が起こります。資金繰りは損益計算書だけでは見えない、キャッシュフローの管理そのものです。
「売上は順調に伸びているのに、なぜか手元にお金が残らない」「月末の支払いが近づくと不安で眠れない」——そんな経験はありませんか?
あなただけではありません。年商1億円前後の企業が資金繰りに苦しむのは、実はよくあることです。売上が増えるほど資金繰りが厳しくなるという「成長の壁」にぶつかる経営者は少なくないのです。
深夜にこの記事を読んでいる方へ。まず深呼吸してください。資金繰りの問題は、原因を正しく理解して対策を打てば改善できます。この記事では、融資実行総額5億円の実績を持つ大阪の税理士が、資金繰りが悪化する原因と具体的な改善方法を丁寧にお伝えします。
「売上が増えたのにお金がない」は年商1億円企業あるある
年商1億円前後の企業が資金繰りに苦しむ最大の理由は、売上の入金よりも支払いが先行する構造にあります。中小企業庁の「中小企業白書(2023年版)」によると、倒産企業の約6割が直前期まで黒字だったとされており、資金繰り管理の重要性は利益管理と同等です。売上増加期こそ、キャッシュフローへの意識が必要です。
年商1億円前後の企業は、「成長期」と「安定期」の境目にいることが多いです。この時期に資金繰りが苦しくなるのには、構造的な理由があります。
- 売上が増えると、仕入・外注費・設備投資・人件費が先に出ていく:売上の入金は後からなのに、支出は先行するため、売上が増えるほど一時的にお金が減るのです。
- 利益が出ていても「帳簿上の黒字」と「手元の現金」は別:減価償却や売掛金の存在により、利益が出ていてもキャッシュが足りないことはよくあります。
- 経営者が「売上=お金」と思い込んでいる:売上が上がれば自然とお金が増えるわけではありません。納税スケジュールなどキャッシュフローの管理が必要です。
これは経営者の能力の問題ではなく、事業が成長する過程で起こる構造的な課題です。正しい対策をとれば、乗り越えられます。
資金繰りが悪化する5つの原因
資金繰り悪化の原因は、大きく5つに分類できます。売掛金の回収遅延・過剰在庫・過大設備投資・納税資金不足・借入返済の重複がその主な要因です。日本政策金融公庫「中小企業の資金調達に関する調査(2023年)」によると、資金繰りに不安を感じる中小企業の割合は約42%にのぼります。原因を特定することが改善の第一歩です。
資金繰りを改善するためには、まず原因を正確に把握することが大切です。年商1億円前後の企業でよく見られる5つの原因を解説します。
原因1:売掛金の回収が遅い
売上は上がっているのに、その代金がなかなか入金されない。売掛金の回収サイトが長いと、それだけ手元資金が不足します。
例えば、月末締め翌々月末払いの取引先が多いと、売上から入金まで2ヶ月以上のタイムラグが発生します。その間の仕入代金や人件費は自社で立て替えなければなりません。売掛金がきっちりと期日までに入金されているか管理できていますか?
原因2:過剰在庫を抱えている
「売れるだろう」と仕入れた在庫が売れ残ると、仕入に使ったお金が在庫として眠ったままになります。在庫はお金が形を変えたものです。過剰在庫は、そのまま資金の凍結を意味します。税法上は在庫が売れるまで経費にできないため、棚卸資産の管理は資金繰りに直結します。
原因3:過大な設備投資
事業の成長に合わせた設備投資自体は正しい判断です。しかし、投資のタイミングや規模を誤ると資金繰りが急悪化します。特に年商1億円前後の企業では、「売上が増えてきたから」と勢いで大きな投資(借入)をしてしまい、返済負担に苦しむケースが見られます。投資判断は、月次決算で手元資金とキャッシュフローを確認したうえで行うのが鉄則です。
原因4:納税資金の準備不足
法人税・消費税の納付は、決算申告時に一括で求められます。会社規模が大きくなってくると、中間納付も発生します。利益が出ている企業ほど納税額が大きくなりますが、「まさかこんなに税金が出るとは」と想定外の金額に慌てるケースは非常に多いです。国税庁の確定申告情報を確認し、納税スケジュールを事前に把握しておくことが重要です。適切な節税対策と合わせて対応することで、納税負担を軽減できます。消費税は「預かり金」の性質を持つため、毎月別口座に積み立てておくのが基本的な対策です。
原因5:借入金の返済負担が大きい
融資を受けて事業を拡大した結果、毎月の返済額が重荷になることがあります。特に複数の借入がある場合、返済スケジュールが重なって一時的に資金が逼迫するケースがあります。借入金の返済は損益計算書には表れないため、「利益は出ているのにお金がない」状態を引き起こす代表的な原因です。返済計画は融資を受ける段階で慎重にシミュレーションしておくことが大切です。
資金繰りが良い企業・悪い企業の特徴比較
資金繰りの良し悪しは、偶然ではなく経営習慣の差から生まれます。良い企業は月次で数字を確認し、問題が起きる前に手を打つ体制を整えています。悪い企業は問題が起きてから対応するため、選択肢が限られます。以下の比較表で、自社がどちらに近いか確認してみてください。
| 項目 | 資金繰りが良い企業 | 資金繰りが悪い企業 |
|---|---|---|
| 資金繰り表 | 毎月作成・更新している | 存在しない、または年1回のみ |
| 売掛金管理 | 回収サイトを把握・交渉している | 入金確認が遅れ、回収もれがある |
| 納税準備 | 毎月積立て・早期に納税額を予測 | 決算後に初めて税額を知る |
| 融資姿勢 | 余裕がある時期に融資枠を確保 | 資金不足になってから銀行に駆け込む |
| 在庫管理 | 月次棚卸で適正在庫を維持 | 過剰在庫が慢性化している |
| 税理士との関係 | 毎月数字を確認・先手の助言を受ける | 年1回の申告のみ |
資金繰り改善5つの方法
資金繰り改善のポイントは、「入金を早く、支払いを遅く、未来を予測する」の3点です。請求サイトの見直し・資金繰り表の作成・融資枠の事前確保・クラウドツールの活用・税理士との月次確認を組み合わせることで、経営者の資金不安は大きく軽減できます。当事務所の実績では、この5つを実践した顧問先の多くが3〜6ヶ月以内に資金繰りを安定させています。
原因がわかれば、対策を打つことができます。ここでは、年商1億円前後の企業に効果的な資金繰り改善の方法を5つご紹介します。
方法1:請求サイトを見直す
売掛金の回収を早くするために、請求サイト(支払い条件)を見直しましょう。
- 取引先との交渉で、回収サイトを短縮する(翌々月末→翌月末など)
- 新規取引先には最初から短い支払い条件を設定する
- 入金が遅れている取引先には、早めにフォローアップする
逆に、自社の支払いサイトが短すぎる場合は、仕入先と交渉して延ばすことも一つの手段です。入金を早く、支払いを遅くすることで、手元資金に余裕が生まれます。
方法2:資金繰り表を作成する
資金繰り表とは、月ごと(または毎日)の入金予定と出金予定を一覧にした表です。「いつ、いくらのお金が入ってきて、いつ、いくら出ていくのか」を見える化します。
資金繰り表を作るだけで、3ヶ月先・6ヶ月先の資金不足を事前に予測できます。問題が起きてから慌てるのではなく、問題が起きる前に手を打てるようになるのです。当事務所ではfreee×bixidを活用した資金繰り表の作成・管理をサポートしています。
方法3:融資枠を事前に確保する
資金繰りに余裕があるうちに、銀行との関係を構築して融資枠を確保しておくことが重要です。日本政策金融公庫や民間の金融機関では、必要になってから申込むのではなく、借りやすい状況の時に準備しておくことをおすすめしています。
資金繰りが厳しくなってから銀行に駆け込むよりも、余裕がある時に準備しておくほうが、はるかに有利な条件で融資を受けられます。日本政策金融公庫「2023年度中小企業実態調査」によると、事前に融資枠を確保していた企業は、緊急時の調達コストが平均1.2〜1.5%低くなる傾向があります。
bixid×freeeで資金繰りをリアルタイム管理
bixid×freeeの組み合わせは、Excelによる手作業管理を不要にします。freeeが日々の取引を自動記録し、bixidがキャッシュフローを可視化することで、経営者は「いつでも・どこでも・リアルタイムで」資金状況を把握できます。当事務所がbixider認定事務所として顧問先に導入した結果、月次決算の完了時間が平均50%短縮されています。
- freeeで日々の取引を自動記録:銀行口座・クレジットカードとの連携で、入出金データがリアルタイムに反映されます。
- bixidでキャッシュフローを分析:freeeのデータをbixidに連携し、資金の流れを自動で可視化します。
- 予測と実績のギャップを月次で確認:計画通りに資金が推移しているかを税理士と一緒に確認(モニタリング)します。
なお、令和8年3月からモニタリング強化型特別保証制度が始まっています。資金繰りにお悩みの経営者は中小企業庁金融課(https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/2026/260302.html)の情報もご確認ください。
「なんとなく不安」を「数字で見える安心」に変えることが、資金繰り改善の第一歩です。月次決算で経営が変わる仕組みづくりについても合わせてご覧ください。
融資実行総額5億円の実績
当事務所では、これまでに融資実行総額5億円を超える資金調達を支援してきました。認定経営革新等支援機関として、融資申込から計画書作成まで一貫してサポートしています。bixidで財務を見える化し、説得力のある経営計画書を作成することが、銀行融資を成功に導く鍵です。
「はじめて融資を受けたいが、どう準備すればいいかわからない」という方も、ぜひご相談ください。顧問税理士の費用相場と選び方もあわせてご参考ください。
資金繰りに関するよくある質問(FAQ)
資金繰りに関するよくある質問に、融資実行総額5億円の実績を持つ当事務所がお答えします。それぞれの回答は結論から始め、具体的な対策までお伝えします。
Q1. 資金繰り表は誰が作るべきですか?
理想は会社が月次で作成し、税理士が内容を確認する体制です。freeeとbixidを活用すれば、データ収集は自動化できるため、作成の手間は大幅に軽減されます。まずは3ヶ月分の入出金予定を書き出すところから始めましょう。
Q2. 資金繰りが厳しい時、まず何をすべきですか?
まずは「いつ、いくら不足するのか」を正確に把握することが最優先です。資金繰り表を作成し、現状を見える化してください。その上で、回収の早期化・支払い条件の交渉・融資の検討を進めます。一人で抱え込まず、税理士に相談することが大切です。
Q3. 赤字でも融資は受けられますか?
赤字であっても、改善計画が説得力を持てば融資を受けられるケースはあります。重要なのは、赤字の原因が一時的なものであり、今後の改善見通しを具体的に示せるかどうかです。認定経営革新等支援機関である当事務所が計画書の作成をサポートします。
Q4. 消費税の納税で資金繰りが苦しくなります。対策はありますか?
消費税は預かり金の性質を持つため、毎月口座に積み立てておくのが基本的な対策です。bixidで早期に納税額を予測し、計画的に資金を確保する方法も有効です。大阪の中小企業向け節税対策15選と合わせて検討しましょう。
Q5. 資金繰りの相談は税理士にできますか?
はい、資金繰りの改善は税理士の重要な業務のひとつです。ただし、すべての税理士が資金繰り支援に強いわけではありません。資金調達の実績がある税理士を選ぶことが大切です。当事務所では日本政策金融公庫や地銀・信金との担当者交流があります。お気軽にご相談ください。
まとめ:資金繰りの不安は「見える化」で解消できる
資金繰り改善の本質は「見える化」と「先手を打つこと」です。freeeで取引をリアルタイムに記録し、bixidでキャッシュフローを可視化し、税理士と一緒に月次で確認する。この仕組みを整えるだけで、経営者の不安は大きく軽減されます。今日からできることは、3ヶ月分の入出金予定を書き出し、資金繰り表の第一歩を踏み出すことです。
- 売掛金の回収サイトを見直し、入金を早める
- 資金繰り表を毎月作成し、3〜6ヶ月先を予測する
- 余裕がある時期に融資枠を確保しておく
- freee×bixidでキャッシュフローをリアルタイム管理する
- 税理士と月次で資金繰りを確認する習慣をつける
当事務所は、freee認定5つ星アドバイザー・bixider認定事務所・認定経営革新等支援機関として、融資実行総額5億円の実績で中小企業の資金繰りを支援しています。
深夜にこの記事を読んでいる方。一人で悩まなくて大丈夫です。まずは下記からご連絡ください。一緒に解決策を考えましょう。
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この記事を書いた人
蟹山 昇宏(かにやま のりひろ)|税理士
近畿税理士会所属(登録番号138494号)。蟹山昇宏税理士事務所 代表。大阪市中央区安土町(本町駅徒歩3分)。freee認定5つ星アドバイザー、bixider認定事務所、認定経営革新等支援機関。中小企業の節税・freee導入・資金調達を一貫して支援。「わかりやすく、ていねいに」がモットー。


